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【悲しみ】人間から「60年間虐待」を受け続けた象。ようやく自由を手に入れるも力尽きてしまった悲しいお話


タイで乗れる象


私達も一度はテレビで見たことがある光景。

タイの観光地の定番といえば「象に乗る事」です。

象に乗り、タイの街を1時間ほど観光できるというもの。

獰猛な動物や、大型の動物には基本的には動物園に行かないと会えないもので、

触れ合うという経験はなかなかする事が出来るものでは有りません。

その為、タイでは非日常な体験が出来るこの象に乗る行為は非常に人気です。

しかし、実はこの観光用に背中に乗せてくれる象達のほとんどは

「大人しくするため、人間にコントロール」されています。

そしてそのコントロールする方法があまりにも酷いのです。

「子どもの象と親の象を無理やり引き離しロープで縛りつけ、人間に逆らわなくなるまで棒やフックなどで打ち続ける」

といったものなのです。

観光の象は人間からの暴力に怯え、象使いのいう事を聞いているだけなのです。

動物も人間と同じでストレスを感じ、精神的にも体力的にも弱っていきます。

食べ物も十分に与えられず、象使いに虐待される毎日。

そんな飼い殺しとも言える劣悪な環境から動物保護団体の「BLES」は、一頭の像を救いました。

救われた象の名前は「サオノイ」。

この象も約60年間、虐待され続けてきました。

アジア象の平均寿命が80歳程度なのですが、サオノイは60歳。

しかし60歳とは思えないほどに弱っていたのです。

サオノイ


保護、救出されてからも、何度も何度も倒れてしまう程に衰弱していました。

それから保護センターへと住む事になったサオノイですが、

同じ象の友達が出来たのです。

その象はサオノイと同じように、虐待され、観光客を乗せていたブーンソンという象。

ブーンソンという象は、虐待により

体中に傷があり、片目が見えなくなり、背中が曲がってしまっていました。

人間からの虐待でここまでボロボロにされてしまったのです。

サオノイは衰弱し弱りきっていましたが、

このブーンソンとの出会いでサオノイは元気を取り戻す事に成功します。

二頭はメス同士で、彼女らの姿はまるで姉妹のようだったと、当時のスタッフは語ります。

広大な保護施設でこれからのびのびと幸せにくらすはずだった二頭。

しかし、それからまもなくサオノイの体力が限界に近づいてしまいました。

スタッフはご飯を食べさせたり、一日中サオノイの側に居たりと、

出来る限りの事をしました。

サオノイの事が心配だったのは、スタッフだけではなく、

姉妹のように仲が良いブーンソンも彼女の状態を気にしていました。

そして、立つ事が出来ず倒れているサオノイを見て、

ブーンソンはとある「行動」に出ます。

ブーンソンはサオノイの体を自分の鼻でゆっくりと撫で始めたのです。

まるで親が病気の子供の背中をさすっているような、そんな撫で方だったようです。

この二頭の様子を見たスタッフは、自然と涙がこぼれてきたといいます。

何度も倒れるサオノイを見てきたスタッフは、

サオノイを安楽死させるかどうかで何度も話し合ってきました。

何十年もの間、虐待を受け続けてきたサオノイには

自由になってもそれを楽しむ力がもう残っていなかったのです。

そんな中、サオノイに変化が起きました。

ブーンソンから優しく撫でられるサオノイは

そこから自力で立ち上がったのです!

ほとんどのスタッフが諦めかけていたときに起きた奇跡。

「信じられない素晴らしいことが起こりました。サオノイが自力で立ち上がったんです。私たちは飛びあがって喜びました。」

そんな喜びのメッセージが綴られていました。

立ち上がり、何時間かを過ごしたサオノイ。

しかし、その翌日。

ブーンソンとスタッフの見守る中、虹の橋を渡ってしまいました。

この状況を見た保護団体BLESの女性スタッフがメッセージを残しています。

スタッフのメッセージ


【公式サイトに綴られたスタッフのメッセージ】

これまで、私たちは年老いた象たちを保護し、自由と尊厳を取り戻せるように懸命に努力してきました。

観光業で無理やり働かされている象たちの植え付けられたトラウマから解放されるように、そして彼らの本来の強さを取り戻せるように彼らと過ごす1日1日を大切にしてきました。

多くの象を保護するほど、彼らの性格が一頭一頭違うことにも気付かされます。

でも、どの象を見ても、彼らが乗り越えて来た長い年月を思うと私はいつも感情的にならずにはいられません。

どうかこれからの余生の日々が少しでも長く続くようにといつも願っていますが、時にそれは叶うことはないのだということを今回、知りました。

今、私の胸は痛みと悲しみで張り裂けそうです。

繊細でか弱かったサオノイを助けるために精一杯のことを私たちはしました。

高齢の美しく聡明な魂を持つサオノイをめいいっぱい愛し、ケアしてきました。

でも、彼女は旅立ってしまったのです。

サオノイの痩せ細った体からは、過去に彼女が絶えて来た恐ろしいほどの虐待が垣間見れるようでした。

きっと耳を塞ぎたくなるほどの辛い経験をしてきたのでしょう。

彼女の目はいつもがらんどうのように暗く、疲れた陰が見えました。

でもサオノイは、とても温かく優しく可愛い象でした。

彼女を見ているとどんな苦境に生きても、希望を捨てるべきではないという姿勢を学ぶこともできました。

最後まで頑張って生きたサオノイを私たちは誇りに思います。

サオノイのために私たちはスタッフ全員で美しい葬儀をしました。

今、サオノイはようやく自由になれたのです。

私たちは決して彼女を忘れることはないでしょう。

本当の自由を手に入れたサオノイが天国で安らかに過ごせますように。

ようやく手に入れた自由。

しかし、それを手に入れたときには既に身体は弱りきっていました。

観光客を乗せている象達、全てがそうだとは言いません。

しかし人間の利益の為に虐待に耐えている象も多くいるというのは事実です。

こうまでして観光というのは大切なのか、象の背中に乗ることは大切な事なのか、

虐待されている象の背中に乗って観光を楽しむ事が正しい事なのか。

人間と象や他の動物との有り方を真剣に考えないといけないのかもしれません。

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